氷と保冷剤
よく冷えるという売り文句の保冷剤が増えていますが、本当に冷えるのでしょうか?
ややこしいですが、ちょっと科学的に考えてみましょう。

氷は溶けてなんぼ
いきなり難しい話になりますが、氷の融解熱(氷が融けるときに周りの熱を奪う量)は約80cal/gです。これは1gの氷が融けると80calの熱を奪うということで、言い換えると100gの氷が溶けると800gの水の温度を10℃下げるということです。
わかりにくいですが、100℃の熱湯100gに、100gの氷を入れてみればわかります、融解熱というものがなければ、50℃の水が200gできるはずですが、融解熱によりもっと温度の低い水になります。

「溶けることによって熱を奪う」は、「溶けなければ冷えない」ということにもなります。
この80cal/gという氷の融解熱は普通に使える物質としてはナンバー1です。
市販されている保冷材も中身の大部分は水ですので、融解熱も水とほぼ同じです。

保冷剤の方が冷える?
最近販売されている保冷剤の中にはマイナス13℃タイプとかマイナス16℃タイプとか、いかにも冷えそうなものがありますが、「良く冷えて持ちが良い」なんて言う噂は、はっきりいって「大ウソ」です。科学的にありえません。
(見た範囲ではメーカーの説明にはウソはなく、ユーザー側の思い込みが広まっているのでは?)
冷やされるものが冷えるためには、冷やすもの(氷、保冷材)が溶けるのが当たり前です。
つまり冷やすには融ける(持たない)。持たすには冷やさない。ということなのです。

では氷とマイナス16℃タイプの保冷剤でなにが違うのでしょう。
理科で習ったように水は0℃で氷になり、氷は0℃で溶けます。一方、マイナス16℃タイプの保冷材はマイナス16℃で溶けたり凍ったりするということです(この点は保冷材の広告の通り)。言い換えると氷は溶け切るまで0℃をキープしようとし、マイナス16℃タイプの保冷材はマイナス16℃をキープしようとすることになります。
ちょっと話が飛びますが、氷は0℃までしか温度が下がらないと良く勘違いされていますが、0℃で氷になるだけで、−10℃の冷凍庫に入れておけば−10℃の氷が、マイナス16℃タイプの保冷材を凍らせる能力のある冷凍庫なら、−16℃以下の氷が作れます。
マイナス16℃タイプの保冷剤と氷をマイナス20℃まで冷やし、二つを室内に置き、経時な温度変化を測定するとこんなイメージになります。

一見、保冷剤の方が冷えるという風に見えますが、溶けた後はどんどん温度が上がりますし、クーラーなんかだと、保冷剤は温度が低い分、放熱の量も増えることになります。

冷やす相手が、アイスクリームのように0℃以下のものとか、急激に冷やしたい場合には、このマイナス○○℃タイプの保冷材も使い道があると思いますが、釣りでは値段ほどの価値はないと思います。(管理人も、ひとつ持っていたりしますが。)


かなり脱線しましたが、氷の持ちを良くするコツは
1.クーラーの内部をあらかじめ冷やしておく。
まずは凍らせた飲料を、出発の数時間前にクーラーに放り込んでおき、クーラーの中の空気とクーラー本体を冷やしてやります。
こうすることにより、後から放り込んだ氷や保冷剤は余分なものを冷やす必要がなく、持ちが良くなります。

2.クーラー内に入れるものを冷やしておく。

3.高温になったり、直射日光にあたるところにクーラーを置かない。

4.クーラーの開閉を控える。
せっかくクーラー内を冷やしても、頻繁に開閉すると内部があったまってしまいます。
エサや食料の出し入れなんかで、冷気を逃がさないためにも、別述の断熱シートを氷の上にどうぞ。

5.魚をきちんと絞める。
魚を生きたままクーラーに入れると味が落ちるだけでなく、生きている間は発熱を続けます。


てなところでしょうか。

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